「ベランダの防水が剥がれてるけど、これって自分で直すの?」
「窓ガラスが割れたけど、共用部分?それとも専有部分?」
こうした疑問は、マンション生活において非常によくあるものです。
特に札幌市のように築年数が経過したマンションや、管理規約が古いまま放置されている物件では、「どっちの責任か?」を巡ってトラブルが発生することもあります。
本コラムでは、“専有部分”と“共用部分”の見分け方をテーマに、区分所有法や管理規約に基づく基本的な考え方から、トラブルを未然に防ぐための対策、そしてマンション管理士の活用方法までをわかりやすく解説していきます。
🔷 専有部分と共用部分って何?
まずは基本的な定義から確認しましょう。
✅ 専有部分とは?
専有部分とは、各区分所有者が単独で所有し、管理・使用できる空間を指します。
例:自分の部屋の内側、床、壁、天井の内側、内装、住宅設備機器(キッチン、浴室など)
✅ 共用部分とは?
共用部分とは、複数の区分所有者が共同で所有・使用する部分を指します。
例:エントランス、廊下、階段、エレベーター、屋上、外壁、配管(共用部分に埋設されたもの)など
🧩 実は“境界線”があいまいなところも…
たとえば――
- サッシや窓ガラスはどっち?
- バルコニーの床の防水層は?
- 専用使用権がある部分は専有?共用?
こういったグレーゾーンがもっともトラブルになりやすいのです。
🔶 見分け方のカギは“管理規約”にある
✅ 管理規約がすべての“基準”になる
管理規約には、専有部分と共用部分の区分が定められており、これが基本的な判断材料となります。
標準管理規約(国土交通省が公表する雛形)でも、以下のように明記されています。
「建物の構造上区分所有者の専有に属しない部分は、共用部分とする」
しかし、ここに問題があります。
❗ 管理規約に書かれていない・曖昧なケース
- 古いマンションでは、規約に明確な記載がない
- 修正や追加がされず、現代の設備に合っていない
- 専有と共用の定義があいまいなまま運用されている
このような場合、最終的にはどうなるのでしょうか?
🔷 曖昧だと…裁判で決まる!?
実は、管理規約に明確な記載がない場合、最終的な判断は裁判所に委ねられることになります。
過去には、「窓ガラスの修理責任」「バルコニーの防水工事の費用負担」「玄関ドアの鍵の交換」などを巡って、訴訟にまで発展した事例も。
つまり――
管理規約が不完全だと、マンション内のちょっとした修繕が“大事件”に発展する可能性があるのです。
✅ トラブルを避けるためのポイント
- 管理規約で「専有部分」「共用部分」「専用使用部分」の定義を明確に!
- 変更や修繕の責任の所在についても明記する
- 区分所有法や民法などの法律に抵触しない範囲で定義することが必要
🔶 よくある“見落としポイント”
❓ バルコニー(ベランダ)
→ 原則は共用部分。ただし、区分所有者に専用使用権がある。
防水層などの修繕は管理組合が行い、清掃などの維持管理は住民が行う。
❓ サッシ・窓ガラス
→ 原則は共用部分。交換には管理組合の承認が必要なことが多い。
ただし、ガラスだけを個人負担で修理するケースもあり、規約によって異なる。
❓ 専用庭
→ 敷地の一部で共用部分。ただし専用使用権があり、雑草の管理や落ち葉処理は区分所有者の責任であることが多い。
❓ 給排水管
→ 室内側(専有部分に埋まっているもの)は専有部分。
壁や床の中を通っている場合は、共用部分として管理組合の責任になるケースが多い。
🔷 札幌市のマンションでは、こうした定義が特に重要!
札幌市のマンションには、寒冷地特有の課題があります。
- 凍結による配管破裂 → 管理責任が不明確だと対応に時間がかかる
- 結露による窓枠の劣化 → サッシの修繕が専有か共用かで費用負担が変わる
- 雪害による外壁・バルコニーの破損 → 事前の責任範囲の明示が重要
札幌市では、共用・専有の定義を明確にすることで、冬季トラブルの対応がスムーズに進みます。
🔶 解決のカギは“プロの視点”=マンション管理士
「管理規約を読んだけど、どこがどうなのか分からない…」
「これって専有部分なの?判断がつかない…」
そんなときこそ、マンション管理士の出番です。
🧩 マンション管理士ができること
項目 | 内容 |
---|---|
管理規約の点検 | 共用・専有の区分が明確になっているかをチェック |
区分所有法との整合性確認 | 法律に照らして、無効となる条項を修正 |
修繕やトラブルの責任分担の助言 | 判例や専門知識に基づいてアドバイス |
規約改正の支援 | 理事会や総会での合意形成のサポート |
✅ まとめ:定義を曖昧にしないことで、争いを防げる!
- 専有部分と共用部分の区分は、管理規約に明記されていることが前提
- 曖昧なままだと、最終的に裁判になるリスクも
- トラブル防止のためには:
- 明確な定義を管理規約に反映
- 区分所有法などの法律に合致させる
- 特に札幌市では、寒冷地特有の問題への備えとして“責任の所在”を明確にすることが不可欠
- そのためには、マンション管理士のような専門家によるチェックと助言が重要
📣 札幌市の管理組合・理事会の皆さまへ
「これは誰が直すべきか…?」
「修繕費を誰が負担するのかで揉めてしまった…」
そんな経験はありませんか?
マンション管理士なら、曖昧なままにされている専有・共用の定義を見直し、トラブルの予防と解決に貢献できます。
安心・安全なマンション管理の第一歩として、ぜひご相談ください。
明文化されていないルールは、争いの火種になります。
専有と共用の“境界線”を、今こそクリアに。それを実現するのが、マンション管理士です。