◆ はじめに

「うちのマンション、防災訓練ってやらなくても大丈夫?」
「消防署から指導があったけれど、誰がやるの?」

札幌市をはじめとする多くの分譲マンションで、こんな声が聞こえてきます。
実は、消防訓練は単なる任意イベントではなく、法律に基づいて実施が義務付けられている重要な取り組みなのです。

今回は、マンション管理士の立場から、消防訓練を「適法に」「効果的に」行うための秘訣をわかりやすくご紹介します。


◆ 消防訓練の実施義務は誰にあるのか?

● 防火管理者の役割

マンションには、一定規模以上の場合、防火管理者の選任が義務付けられています。
防火管理者の役割は以下の通りです。

  • 消防計画の策定
  • 消防訓練の企画・実施
  • 消防設備の点検や報告の確認
  • 火災時の避難誘導や指揮

つまり、消防訓練は防火管理者が責任を持って行うものなのです。


● 防火管理者は誰がなる?

通常は、管理組合の理事長が防火管理者に選任されるケースが多いですが、必ずしもそうでなくても構いません。
必要に応じて、理事会で話し合い、適任者を決めることが大切です。

ただし、防火管理者は消防署の講習を受けて資格を取得する必要があり、形式的に選ぶのではなく、実際に責任を果たせる人を選任することが望まれます。


◆ 消防訓練を適法に実施する3つの秘訣

① 消防計画を策定・周知する

消防訓練を実施するには、まず「消防計画」を策定しなければなりません。
これは、防火管理者が中心となって作成し、消防署へ提出・承認を受けることが必要です。

計画には――

  • 避難経路や集合場所
  • 消火器や消火栓の使用方法
  • 通報の流れ(119番通報や火災報知器の扱い)
  • 訓練の頻度や参加対象者

といった事項を盛り込みます。

消防計画は紙の上だけで終わらせるのではなく、全住民に周知することが重要です。


② 防災訓練は「参加型」にする

よくある失敗は、「防災訓練をしたけれど、実質的には説明だけだった」というもの。
それでは住民の防災意識は高まりません。

効果的にするには――

  • 実際に非常ベルを鳴らす
  • 避難経路を歩いて確認する
  • 消火器を使ってみる(訓練用水消火器)
  • AEDを操作してみる

といった、体験型の訓練にすることが大切です。
札幌市の冬場であれば、積雪時の避難経路確認など、地域特有の工夫も必要です。


③ 消防署や管理会社と連携する

防火管理者一人で全てを抱え込む必要はありません。
消防訓練は、消防署の協力を得ることが可能ですし、管理会社もサポートしてくれるケースが多いです。

  • 消防署による指導・アドバイス
  • 消防設備点検業者による実演
  • 管理会社による案内や住民周知

こうした協力を得ながら進めることで、適法かつ実効性のある消防訓練になります。


◆ 消防訓練を怠るとどうなる?

「毎年やらなくてもいいのでは?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、消防訓練を怠ると以下のリスクがあります。

  1. 消防署からの是正指導
  2. 火災発生時に避難が遅れ、命の危険に直結
  3. マンションの評価や資産価値の低下

つまり、消防訓練は住民の安全だけでなく、マンションの資産価値を守るためにも不可欠なのです。


◆ 札幌市と防災意識の高まり

札幌市は冬季の火災リスクが高く、ストーブや暖房器具の使用、積雪による避難経路の妨げといった問題があります。
そのため、消防訓練を定期的に実施しているかどうかは、他都市以上に重要なポイントです。

実際に、不動産売買の場面でも「防災意識の高さ」がプラス評価されることがあります。
つまり、消防訓練は住民の命を守るだけでなく、資産を守る行為でもあるのです。


◆ まとめ

  • 消防訓練は、防火管理者が責任をもって行う義務がある
  • 消防計画を策定・周知し、体験型の訓練を実施することが効果的
  • 消防署や管理会社の協力を得ながら、適法かつ実効性のある訓練を行う
  • 札幌市のような寒冷地では、防災訓練はより重要な意味を持つ

◆ 最後に:マンション管理士を活用しよう

消防訓練や防火管理は、防火管理者だけに任せると負担が大きく、実務的に困難なこともあります。
そこで役立つのが、マンション管理士です。

マンション管理士は――

  • 消防計画や訓練実施の仕組みづくりをサポート
  • 理事会や管理会社との調整役
  • 法的観点からの助言

といった形で、防災訓練をスムーズに実施できるようお手伝いします。

札幌市で消防訓練や防災対策に不安を感じている管理組合の皆様、
まずはマンション管理士に相談してみませんか?
それが、安心で安全な暮らしを守る第一歩です。