◆ はじめに
「理事会って、きっちり招集しないと無効になっちゃうんでしょ?」
「もし理事全員が偶然集まったら、その場で決議できるの?」
実は、多くの区分所有者や理事会役員が誤解しているのが、理事会の決議要件です。
理事会は厳格な手続きで運営される一方で、驚くほど柔軟な規定も備えているのです。
札幌市でも、中古マンションの購入者や現役の理事さんから「理事会の決議ってどうなっているの?」と相談を受けることがあります。
今回は、マンション管理士の立場から、理事会決議の意外な柔軟性と注意点をわかりやすく解説していきます。
◆ 理事会はどうやって招集するのか?
● 基本ルール:一週間前に通知する
多くのマンションでは、理事会は会議の一週間前までに招集通知を出さなければならないなどと管理規約で規定されています。
通知には、
- 開催日時
- 開催場所
- 議題(何を決めるか)
が明記されるのが一般的です。
つまり、理事会は理事全員に準備の時間を与え、参加できるように配慮されているのです。
● ただし規約で柔軟に運用できる
この「一週間前通知」というルールは、管理規約で伸縮することも可能です。
実際、札幌市のマンションでも「三日前まで」「五日前まで」と定めているところが少なくありません。
理事会は、居住者全員が関わる総会よりも迅速性が求められるため、多少柔軟に設定できる仕組みになっています。
◆ えっ!? 理事会は“偶然の集まり”でも有効
ここが多くの方が驚くポイントです。
実は、理事会は「正式な招集通知」を経なくても、理事全員がその場に揃った場合には、そこで決議したことが有効になります。
つまり――
- 集会室で偶然理事全員が顔を合わせた
- 駐車場のトラブルで緊急的に理事が集まった
- 総会後の雑談で理事全員が揃った
このような状況で、そのまま議論し、合意が取れた場合には、それは正式な理事会決議と同じ効力を持つのです。
● なぜこんな柔軟な規定があるのか?
理由はシンプルです。
「全員がその場にいて、全員が同意した」なら、わざわざ招集通知を出して再度集まる必要はないからです。
理事会の本質は、理事全員で話し合い、決定すること。
形式よりも実質を重視しているため、偶然の集まりでも決議が有効になるのです。
◆ 柔軟な決議要件のメリットと注意点
● メリット
- 急なトラブルに迅速に対応できる
- 理事の負担を軽減できる
- 形式にとらわれず、住民の利益を守れる
● 注意点
- 本当に「全員」が揃っているかが重要
- 議事録は必ず残すこと(後でトラブル回避のため)
- 合意形成のプロセスが見えにくくなる可能性がある
特に、「その場にいた理事は全員同意したけれど、記録が残っていない」というケースは後で紛争の火種になりがちです。
ですから、柔軟に決められる一方で、透明性と記録性を確保することが大切です。
◆ 札幌市のマンション管理と理事会の課題
札幌市のマンションは、人口減少や高齢化の影響で、
- 理事会の担い手不足
- 出席率の低下
- 意思決定の遅れ
といった課題を抱えるケースが少なくありません。
しかし、理事会決議の「柔軟さ」を理解し活用すれば、こうした問題もある程度解消できます。
例えば、短縮した招集通知期間を取り入れたり、偶然の集まりでの決議を活用したりすれば、意思決定のスピードが格段に上がるのです。
◆ まとめ
- 理事会は原則「一週間前に通知」して招集する
- 規約で通知期間を伸縮することも可能
- 偶然理事全員が揃った場合、その場での決議も有効
- 柔軟な規定があるからこそ、迅速かつ実効性のある意思決定ができる
◆ 最後に:マンション管理士を活用しよう
理事会の運営は、規約や法律の知識がないと誤解やトラブルにつながりやすい部分です。
とくに札幌市のように多様な住民が暮らす地域では、理事会の柔軟性を正しく活かしつつ、透明性と公平性を確保することが大切です。
そこで頼りになるのが、マンション管理士です。
マンション管理士は――
- 理事会招集・決議の法的要件を正しく解説
- 柔軟な運営方法を提案
- 議事録作成や意思決定の透明化をサポート
といった形で、理事会を円滑に機能させるお手伝いをします。
もしあなたのマンションで、
「理事会ってどう運営すればいいの?」
「決議の仕方が合っているのか不安…」
と感じているなら、まずはマンション管理士に相談してみませんか?
それが、安心で健全なマンション管理への第一歩です。