◆ はじめに
「次の理事長、誰も手を挙げない…」
「理事会の役員は輪番制なのに、順番が回ってきても辞退者が続出…」
札幌市をはじめ全国の分譲マンションで、こうした声が年々増えています。
その背景には、マンションの老朽化と住民の高齢化という「二つの老い」があるのです。
この記事では、理事長不在問題をどう乗り越えるか、そして外部管理者方式という新しいマンション管理の未来像について、マンション管理士の視点から解説します。
◆ マンションを襲う「二つの老い」
① 建物の老朽化
マンションは完成から年数を重ねるごとに、建物や設備が劣化していきます。
外壁のひび割れ、給排水管の老朽化、エレベーターの更新…。
これらは適切に修繕を重ねることで寿命を延ばせますが、判断や決定を行うのは管理組合、すなわち理事会です。
しかし、肝心の理事長がいなければ、大規模修繕工事も計画通り進みません。
② 住民の高齢化
もう一つの「老い」が住民の高齢化です。
マンションは建物が古くなるのと同じスピードで、そこに住む人々も年齢を重ねます。
- 「体力的に役員を務めるのが難しい」
- 「会議に参加するのも負担になる」
- 「そもそも理事長の仕事が重すぎる」
こうした理由から、役員のなり手不足が深刻化しているのです。
特に札幌市のように雪かきや冬場の管理負担が大きい地域では、若い世代も共働きや子育てで忙しく、役員を引き受ける余裕がないのが現実です。
◆ 理事長不在がもたらすリスク
理事長が不在になると、マンションの管理はどうなるのでしょうか?
- 大規模修繕工事の計画が止まる
- 管理会社との契約更新や見直しが滞る
- 修繕積立金の値上げなど、重要な意思決定ができない
結果として、建物の老朽化がさらに進み、資産価値が下がってしまいます。
「理事長不在=放置マンション」への第一歩になりかねません。
◆ 解決策は「外部管理者方式」
では、理事長がいない問題をどう解決するのか。
そこで注目されているのが外部管理者方式(総会監督型)です。
これは――
- 理事会を解散し、外部の専門家が管理者として理事長の役割を担う
- 区分所有者の中から複数名を「監事」として選び、外部管理者を監督する
という仕組みです。
つまり、「専門家による実務」と「住民による監督」を分けることで、適正な管理を実現する方式です。
◆ 外部管理者は誰が担うのか?
「外部管理者=管理会社」と考える方もいますが、実は必ずしもそうではありません。
近年は、マンション管理士が外部管理者として活躍するケースが増えてきています。
マンション管理士は――
- 管理規約や区分所有法などの法律に詳しい
- 修繕積立金や会計に精通している
- 工事や修繕に関しても専門的な助言ができる
こうした知識と経験を持つため、理事長業務を代行するのに適した存在です。
◆ 外部管理者方式のメリット
- 役員の担い手不足を解消できる
誰も理事長をやりたがらない、という問題から解放されます。 - 管理の専門性が向上する
修繕工事や契約見直しといった難しいテーマも、専門家が対応します。 - 住民は監督役に専念できる
細かな実務を任せ、住民は「チェック」に集中できるため負担が軽くなります。
◆ 外部管理者方式の課題
もちろん、外部管理者方式にも課題はあります。
- 外部管理者が管理会社の場合、利益相反が生じる可能性
- 透明性を保つためのルールづくりが必要
- 導入には総会での特別決議が必要
これらをクリアするには、導入前から住民全体で丁寧に議論することが重要です。
◆ 札幌市のマンション管理と外部管理者
札幌市のマンションは、雪害や寒冷地特有の修繕問題があり、理事長業務は一層負担が大きくなりがちです。
だからこそ、外部管理者方式を検討する価値は高いといえます。
「二つの老い」を乗り越えるには、プロの知識を生かしながら、住民が無理なく関われる仕組みづくりが欠かせません。
◆ まとめ
- マンションには「建物の老朽化」と「住民の高齢化」という二つの老いがある
- 理事長不在は大規模修繕や契約更新を止め、資産価値を下げるリスクがある
- 解決策は「外部管理者方式」。特にマンション管理士が外部管理者を担うのが理想的
- 札幌市のマンションは特有の課題があるため、外部管理者方式の導入は現実的な選択肢
◆ 最後に:マンション管理士を活用しよう
理事長のなり手がいないからといって、放置すればマンションの未来は危うくなります。
しかし、外部管理者方式を導入すれば、専門家が理事長の役割を担い、住民は安心して暮らすことができます。
札幌市のマンション管理に精通したマンション管理士なら、外部管理者としての実務だけでなく、導入前の相談や住民説明会のサポートも可能です。
「理事長がいない…」と悩んだら、まずはマンション管理士に相談してみましょう。
未来の安心と資産価値を守る第一歩になります。