「管理会社がしっかりやってくれているから、うちは大丈夫」
「理事会って何か意味あるの? 管理会社が判断してくれるでしょ?」

…ちょっと待ってください!

札幌市の多くの分譲マンションでもよく見られるこの誤解――
それは、マンション管理における最も重要な“責任の所在”を見失う第一歩かもしれません。

確かに、管理会社はマンション管理のプロフェッショナル。
日々の運営を支える大切なパートナーです。ですが、どんなに優れた管理会社であっても、委託できない業務があるのです。

それが「意思決定」です。

今回は、管理組合が委託できる業務と、できない業務の違いを明確にしながら、管理の主体性をどう守るべきかをマンション管理士の視点で解説します。


🔷 管理組合と管理会社の“ちょうどいい関係”とは?


✅ 管理会社は「業務のプロ」、でも「運営の主役」ではない

管理会社の役割は、以下のような日常的な管理業務の実施・補助です。

管理会社が担う主な業務説明
会計・出納管理費や修繕積立金の徴収・支払いの処理など
清掃・点検業務共用部分の清掃、設備の法定点検など
総会・理事会運営補助議案の資料作成、議事録案の作成など
苦情・相談対応住民からの問い合わせ窓口としての対応

つまり、管理会社は管理組合が意思決定したことを、実務的に実行する役割なのです。


🔶 委託できない“意思決定”とは何か?


❗ 意思決定とは=「管理組合の責任の核心」

マンション管理における意思決定とは、

  • 予算・決算の承認
  • 修繕積立金の額の決定や変更
  • 大規模修繕の実施可否とその内容
  • 管理会社との契約更新・変更
  • 管理規約の改正

など、マンションの将来を左右する重要な判断を指します。

これらの事項は、理事会または総会の議決によってしか決定できません。

いくら管理会社がプロでも、「判断する権限」は持っていないのです。


📌 札幌市でも見られる「丸投げリスク」

札幌市では、冬季に理事会の活動が滞りやすいこともあり、管理会社にすべて任せてしまう例が目立ちます。

  • 管理会社が提案した見積をそのまま承認
  • 総会の議案もすべて管理会社が作成
  • 修繕工事の内容や価格についてノーチェックで進行

こうした状態が続くと、住民の無関心が加速し、“管理不全”に向かうリスクが高まります。


🔷 なぜ意思決定を委託してはいけないのか?


✅ 理由①:最終的な責任は管理組合にある

トラブルや事故が起こったとき、「管理会社が決めたから」とは言い訳になりません。
法律上、管理の主体は“管理組合”であることが明確にされています。

たとえば、大規模修繕で重大な瑕疵が見つかっても、責任を問われるのは管理組合(理事会)である可能性が高いのです。


✅ 理由②:利益相反の可能性がある

管理会社が紹介する業者、提案する契約条件、費用――
これらは、自社の利益に有利な内容になっていることもあり得ます。

それらをチェックし、判断するのはあくまで理事会や総会の役割です。


✅ 理由③:住民の納得と信頼が得られない

「勝手に決められた」と住民に感じさせてしまえば、
総会の出席率は下がり、合意形成ができないマンションになっていきます。


🔶 管理会社との連携を活かす“正しい委託”とは?


委託できることと、できないことを明確に分け、管理組合が“判断”し、管理会社が“実行”するという関係を保つことが理想です。


📌 委託してもいいこと

  • 書類作成(議案、議事録、見積書等)
  • 会場予約や資料発送
  • 見積業者の手配、スケジュール調整
  • 日常的な清掃や点検の実施

📌 委託できないこと(=必ず理事会や総会で判断すること)

  • 業者の選定と工事内容の決定
  • 契約条件の最終判断
  • 規約やルールの変更
  • 長期修繕計画の改定
  • 管理費や積立金の変更

🔷 そんなときこそ、マンション管理士の出番!


「理事会で全部判断するのは大変…」
「管理会社と対等にやりとりする自信がない」
「何を委託して、何を判断すべきか分からない」

そんなときに頼りになるのが、中立的な第三者=マンション管理士です。


🧩 管理士の主なサポート内容

分野支援内容
意思決定支援議案作成や住民説明、合意形成プロセスのサポート
業者選定の助言管理会社の提案内容をチェック、適正価格の検証
委託契約の精査委託内容の妥当性を整理し、理事会へ助言
理事会・総会の運営補助住民の理解を得やすいプレゼン資料などを用意

札幌市では、冬季のスケジュール調整や寒冷地特有の管理課題にも対応できる地域密着型の管理士が活躍しており、マンションごとの事情に即したサポートが可能です。


✅ まとめ:管理のプロ=管理会社、判断の主役=管理組合!


  • 管理会社は、あくまで実務の委託先であり、判断・意思決定は管理組合が担うもの
  • 判断を委託してしまうと、責任・信頼・住民の納得感がすべて失われる
  • 管理会社との“適度な距離感”を保ちつつ、理事会が主体性を持って運営することが大切
  • 迷ったら、マンション管理士を“もうひとりの理事”として活用するのが最も効果的!

📣 札幌市の管理組合・理事会の皆さまへ

「管理会社任せになってしまっているかもしれない…」
「本当にこのままで大丈夫か不安」
「判断の軸となる知識が欲しい!」

そんなときこそ、マンション管理士にご相談ください。

“実行”と“判断”をきちんと分けて、管理組合が本来の力を取り戻すサポートをいたします。


管理の手間は委託できても、責任までは委託できない。
管理組合が意思を持って判断する――
それが、安全で資産価値の高いマンションをつくる第一歩です。