「総会で承認されたんだから大丈夫でしょ」
「住民の多数決で決めたことだから正しいはず」
……その管理規約、本当に合法ですか?
実は、札幌市を含む全国のマンションで「住民が合意した規約」が法律違反で無効とされる事例が後を絶ちません。
せっかく時間と労力をかけて策定・改正した管理規約でも、区分所有法や民法、その他の法律に反していれば“法的効力がない”のです。
本コラムでは、マンション管理規約が無効とされる典型例や法的チェックのポイントを紹介し、
トラブルを未然に防ぐためにマンション管理士が果たす役割について詳しく解説します。
🔷 「多数決で決めたから正しい」とは限らない!
マンション管理規約は、区分所有者による合意に基づいて作成・変更されます。
しかし、どれほど多くの賛成を得たとしても――
法律に反する内容は無効とされてしまいます。
❗ 実際にあった「無効とされた管理規約」例
事例 | 内容 | 判例など |
---|---|---|
賃貸禁止の規約 | 「専有部分の賃貸を一切禁止する」という管理規約 | 私的財産権の侵害にあたり、裁判で無効とされたケースあり |
駐車場使用の不平等 | 「所有者Aは無料、所有者Bは有料」とする規約 | 平等原則に反するとして訴訟に発展 |
ペット完全禁止+罰則あり | ペット禁止違反に罰金10万円 | 金額の妥当性がなく、過剰な制裁と判断される可能性あり |
✅ 管理規約と法律の“優先順位”
優先順位 | 内容 |
---|---|
① 法律(区分所有法、民法など) | 最上位。規約がこれに反する場合は無効。 |
② 管理規約 | 法律の範囲内で定めることができる。 |
③ 使用細則 | 管理規約に基づいて定める具体的ルール。 |
つまり、「みんなで決めたこと」でも、上位法に反すれば“なかったこと”になってしまうのです。
🔶 法律に反する規約はどうして問題なの?
✅ 問題①:住民とのトラブルの火種になる
「規約で禁止されてるから」と思っていても、
住民が弁護士に相談した結果「この規約は無効です」となれば、
管理組合の立場が一気に崩れます。
✅ 問題②:裁判で確実に負ける
たとえば、賃貸禁止の規約に違反しているオーナーに対し、
管理組合が契約解除を求めて訴訟を起こしたとしても――
規約自体が無効なら、訴えは棄却されてしまいます。
✅ 問題③:マンションの信用・資産価値が下がる
無効な規約が放置されていると、
「管理組合が法的理解に乏しい」と判断され、
新規購入希望者が離れ、資産価値の低下にもつながります。
🔷 規約が法律に反していないか、見極めるには?
✅ チェック①:区分所有法に沿っているか
特に注意すべき条文は以下のとおりです。
区分所有法の条文 | 注意点 |
---|---|
第6条 | 規約は法律に反してはならないと明記 |
第17条 | 共用部分の変更には特別決議が必要(原則4分の3以上) |
第30条 | 規約に基づき使用細則を定められるが、法律に優先しない |
✅ チェック②:民法など他の法律と矛盾していないか
たとえば、
- 過剰な違約金 → 民法の「公序良俗違反」
- 不平等な取扱い → 憲法や民法における「平等原則」違反
- 説明不足の規約改正 → 「契約自由の原則」に反する可能性
✅ チェック③:改正標準管理規約と比較してみる
国土交通省が公表している**「マンション標準管理規約」**は、
区分所有法に則った「法的に問題のない規約」のモデルです。
札幌市内でも、築年数の古いマンションほど「旧基準のまま」「独自ルールが先行」しているケースが多いため、
現行の標準管理規約と照らし合わせるだけでも、多くの法的問題点が明らかになります。
🔶 マンション管理士はどう役立つ?
「法律の知識もないし、うちの規約が大丈夫か分からない…」
「住民同士で議論しても、法的根拠が曖昧…」
そんなときに頼りになるのがマンション管理士です!
🧩 マンション管理士の役割
支援内容 | 解説 |
---|---|
規約の法的チェック | 区分所有法・民法・標準管理規約との整合性を精査 |
改正案の作成支援 | 法律に則りつつ、マンションの実情に合った規約を提案 |
総会での住民説明 | 難解な法的内容を、住民に分かりやすく解説 |
必要に応じて弁護士と連携 | 訴訟リスクが高い案件には、法的専門家との連携もサポート |
札幌市では特に、寒冷地特有の管理上の課題(除雪ルール、落雪対策、換気設備など)に関する独自規約が多く、
それらが法的に有効かどうかのチェックもマンション管理士の得意分野です。
✅ まとめ:その規約、本当に「安心のルール」になっていますか?
- 管理規約は、区分所有者の多数決で定められても、法律に反すれば無効!
- 法律違反の規約は、裁判で争っても負けてしまうリスクがある
- 区分所有法・民法・標準管理規約との整合性を確認することが不可欠
- 札幌市のマンションでは、旧規約や独自ルールがトラブルの原因になりやすい
- 不安な場合は、マンション管理士を活用して「法的に強い管理組合」を目指そう!
📣 札幌市の管理組合・理事会の皆さまへ
「うちの規約って大丈夫だろうか…?」
「この条文、なんとなく不安だけど誰に相談したらいいか分からない」
そんな時こそ、マンション管理士にご相談ください。
あなたのマンションに合った、かつ“法的に正しい”管理規約づくりを
しっかりサポートいたします。
管理規約は、マンションの“憲法”です。
でも、それが法律に反していれば「砂上の楼閣」にすぎません。
あなたのマンションを守るために、まず“法に適う規約”から始めましょう。
その道案内役に、マンション管理士を。