マンションで突然起こるトラブルの中でも、「水漏れ事故」は非常に多い相談のひとつです。
「上階から天井にシミが!」、「突然、照明の中から水がポタポタ…!」――そんな声を札幌市でもよく耳にします。

実際、水漏れ事故は老朽化だけでなく、ちょっとした不注意(洗濯機ホースの外れ、給水管の劣化、浴槽の水あふれなど)からも発生します。

では、もしあなたが加害者・被害者のどちらかになってしまった場合、
「保険はどこまで使えるの?」「使うと保険料が上がるって本当?」
という疑問が湧いてくると思います。

今日は、そんなマンションの水漏れ事故と個人賠償責任保険の正しい考え方について、
専門家の視点からわかりやすくお話しします。


🚿 第1章 ある日突然!上階からの水漏れ…

たとえば、こんなケースを考えてみましょう。

札幌市内のある分譲マンション。
下階の住戸の天井からポタポタと水が垂れてきました。
原因を調べてみると、上階の洗濯機の排水ホースが外れていて、
水が床から下階へと漏れてしまった――というケースです。

このような場合、加害者(上階)は、被害者(下階)に対して損害賠償責任を負う可能性があります。
具体的には、被害住戸の天井・壁紙・照明などの修理費を負担することになります。

ただし、ここで問題になるのが、
「誰の保険を使うのか?」という点です。


🧾 第2章 マンションには2種類の保険がある

マンションでの水漏れ事故に関係する保険は、大きく分けて2つあります。

① マンション全体で加入している「マンション総合保険」

管理組合が契約している保険で、主に共用部分(廊下・外壁・配管など)の損害を補償します。
また、特約として「個人賠償責任保険」や「施設賠償責任保険」が付帯している場合があります。

② 各住戸で加入している「個人の火災保険(+個人賠償責任保険)」

これは区分所有者や居住者が個別に契約している保険で、専有部分(自分の部屋の内部)の損害や、
他人に損害を与えた場合の賠償責任をカバーすることができます。


⚖️ 第3章 「どの保険を使うか」で将来の保険料が変わる!

さて、ここが非常に重要なポイントです。

もし、マンション総合保険に付帯している個人賠償責任保険を使ってしまうと、
その事故はマンション全体の“事故件数”としてカウントされます。

つまり――

💥 1住戸のトラブルが、マンション全体の保険料アップにつながる可能性があるのです。

マンション総合保険は、管理組合全体で契約しているため、
「事故が多いマンション」と判断されると、次回更新時に保険料が上がるリスクがあります。

そのため、専有部分のトラブル(室内の水漏れなど)については、
管理組合の保険ではなく、個人が加入している保険を使う方が望ましいのです。


🏠 第4章 個人賠償責任保険とは?

「個人賠償責任保険」は、日常生活の中で他人に損害を与えた場合の賠償責任をカバーする保険です。

たとえば――

  • 上階からの水漏れで下階の天井を濡らしてしまった
  • 子どもが自転車で他人にケガをさせてしまった
  • 飼い犬が他人の物を壊してしまった

といったケースが対象になります。

この保険は、火災保険や自動車保険、共済などに特約として付けられている場合も多いです。

最近では、1億円や3億円といった高額の補償がつくものもあり、
年間数千円程度で加入できる手軽な保険でもあります。


💡 第5章 なぜ個人の保険を使うのがベストなのか?

結論から言えば、個人の個人賠償責任保険を使うことが最も合理的です。

理由は3つあります。

① マンション全体の保険料に影響しない

前述の通り、マンション総合保険を使うと事故件数が加算され、
次回更新時の保険料アップや条件変更のリスクがあります。
個人の保険であれば、他の住民に影響を与えずに済みます。

② 専有部分の事故は個人の責任範囲

配管の劣化やホース外れなど、専有部分の設備が原因で水漏れが起きた場合、
その責任は区分所有者(あるいは居住者)にあります。
したがって、個人の保険を使うのが自然な対応です。

③ スムーズな解決が可能

個人の保険を利用すれば、保険会社同士で示談交渉を行ってくれるため、
「理事会を通さないといけないの?」といった煩雑さが軽減されます。


🧯 第6章 事故が起きたときの3ステップ対応

では、実際に水漏れ事故が発生した場合、どう行動すればよいのでしょうか?

① まずは管理会社または管理組合に連絡

共用部分が原因か、専有部分が原因かを判断するため、
必ず管理会社に連絡を入れましょう。
夜間や休日なら、札幌市内の多くのマンションでは警備会社の緊急連絡窓口が設けられています。

② 原因を特定する

現地確認や配管の調査などを通じて、
どこから水が漏れているのかをはっきりさせます。
原因が共用部分なら管理組合の責任、
専有部分なら個人の責任となります。

③ 加害者・被害者双方で保険会社に相談

自分の保険に「個人賠償責任保険」が付いているかを確認しましょう。
もし付いていなければ、家族の誰かが加入しているケースもあります。
(同居の家族が被保険者に含まれていることが多いです。)


🏗 第7章 水漏れ事故は“保険の使い方”で差が出る

マンション管理の現場では、
「誰の保険を使うか」で理事会や住民同士の関係が悪化してしまうケースもあります。

だからこそ、最初の判断がとても重要です。

  • 共用部分なら管理組合の保険
  • 専有部分なら個人の保険

この原則を理解し、保険会社・管理会社・理事会が連携して対応することで、
トラブルを最小限に抑えることができます。


🧭 第8章 札幌市のマンションと「管理士のサポート」

札幌市は寒冷地特有の配管設備が多く、
凍結・破裂・結露などによる水漏れ事故が少なくありません。

そのため、

  • 「どこまでが共用部分?」
  • 「この保険を使うとマンション全体に影響ある?」
  • 「理事会としてどう対応すべき?」

といった判断が非常に難しくなります。

そんなときこそ、マンション管理士の出番です。

マンション管理士は、
・区分所有法や標準管理規約の理解
・保険制度や修繕技術の知識
・住民間トラブルの調整スキル

を兼ね備えた、マンション運営の総合コンサルタントです。


🧩 まとめ

  • 水漏れ事故では「誰の保険を使うか」が大きなポイント
  • マンション総合保険を使うと事故件数が増えて保険料アップの可能性あり
  • 専有部分で起きた事故は、個人の個人賠償責任保険の利用がベスト
  • 原因特定と保険確認を迅速に行い、トラブルを最小限に
  • 札幌市の寒冷地特有の水漏れ対策には、専門家の知見が不可欠

💬 最後に

「保険の使い方なんて、そんなに違うの?」と思われるかもしれませんが、
実はその判断ひとつでマンション全体の保険料や人間関係に影響が出ます。

だからこそ、
「まずは誰に連絡するか」「どの保険を使うか」を、冷静に判断することが大切です。

札幌市でマンションの水漏れトラブルや保険対応にお困りの方、
ぜひ一度、マンション管理士に相談してみてください。
専門家が中立の立場からアドバイスし、最適な解決方法を一緒に導き出します。