「管理費と修繕積立金って、どっちもマンションのために使うお金でしょ?」
「足りないなら、余ってるほうから使えばいいんじゃないの?」
――そう思ってしまったあなた。
実はその考え、マンションを危機に追い込む第一歩かもしれません。
札幌市でも、「管理費が足りないから、修繕積立金を使って帳尻を合わせた」という事例がありました。
結果的にどうなったかというと……将来の大規模修繕ができなくなり、マンションの資産価値が急降下。
住民の間でも不信感が高まり、理事会が崩壊寸前にまで追い込まれたのです。
このコラムでは、管理費と修繕積立金の違いを明確にしつつ、補填を安易に行うリスクと、その回避策について、マンション管理士の視点から分かりやすく解説します。
🔷 そもそも「管理費」と「修繕積立金」ってどう違う?
種類 | 目的 | 具体的な使い道 |
---|---|---|
管理費 | 日常の運営費用 | 清掃、電気代、管理員人件費、保険料など |
修繕積立金 | 将来の修繕工事費用 | 外壁補修、屋上防水、給排水管更新など |
つまり、管理費は“今”のためのお金、
修繕積立金は“未来”のためのお金です。
✅ 管理費が不足するとどうなる?
- 日常清掃の回数を減らす
- 設備点検が後回しになる
- エレベーターや照明の故障対応が遅れる
→ 住民の満足度が低下し、「あのマンション、管理が行き届いていない」と評判が落ちてしまいます。
✅ 修繕積立金が不足するとどうなる?
- 外壁のひび割れやタイル剥落の放置
- 給排水管の漏水リスク上昇
- 屋上の防水不良による雨漏り発生
→ 修繕が遅れれば遅れるほど工事費は跳ね上がり、
結果的にもっとお金が必要になる悪循環に。
🔶 補填してはいけない? 実は「ルール」がある
❗ 修繕積立金の流用には“総会決議”が必要!
区分所有法や標準管理規約では、修繕積立金の取り崩し(流用)には総会での決議が必要とされています。
住民の合意がないまま、理事会だけで勝手に使ってしまうと――
- 違法行為として責任を問われる
- 決議の無効確認を訴えられる可能性も
- 住民間の信頼関係が破壊される
という深刻なトラブルに発展しかねません。
📌 実際に札幌市で起きた事例
ある築25年のマンションで、管理費が慢性的に不足。
理事会が「一時的な対応」として、修繕積立金から100万円を補填しました。
ところが、そのことが後日判明し、総会で炎上。
- 「誰の許可で使ったんだ!」
- 「本当に一時的だったのか?」
- 「次の大規模修繕はどうするつもり?」
→ 住民の不信感が爆発し、理事が総辞職。
さらに、修繕積立金が足りず、屋上防水工事が延期され、
雨漏り被害が拡大して資産価値が下落するという“最悪の末路”となりました。
🔷 なぜ補填が問題になるのか? 本質は「財務管理と信頼」
✅ 本来の目的を損なうから
修繕積立金は、将来の高額な修繕に備えて積み立てるもの。
これを今の運営費に使ってしまえば、いざというときにお金が足りなくなります。
✅ 財務的な見通しが不明瞭になるから
管理費が不足しているのに、根本的な原因(予算不足・支出過多)を見直さず、
一時しのぎの補填で済ませてしまうと、健全な財政運営ができなくなります。
✅ 住民の信頼が損なわれるから
お金に関する透明性が失われると、住民の関心が一気に高まり、
理事会に対する不信・敵対的な態度へと変わっていくことも。
🔶 適切な対策と予防策は?
✅ 1. 管理費と修繕積立金の予算を分けて厳格に運用
日常管理のための支出と、将来の修繕のための貯蓄は別会計で管理しましょう。
✅ 2. 財政状況を“見える化”する
- 年次収支報告書
- 修繕積立金の長期予測
- 支出項目の一覧とその説明
これらを住民に分かりやすく共有することが、信頼構築につながります。
✅ 3. 不足が出る前に「見直し」と「改善」を!
- 管理委託契約を見直す(無駄なコストがないか?)
- 設備や清掃の頻度を適正化
- 不要なサービス契約を精査する
管理費の赤字は経費削減と予算設計の見直しでカバーすべきです。
それでも足りなければ、段階的な管理費の増額を提案するのが現実的な対応です。
🔶 中立な立場でアドバイスできるのは「マンション管理士」
「管理会社に相談したら、“修繕積立金から借りればいい”と言われた…」
「でも、それって本当に正しいの?」
そんなとき、中立な第三者として冷静に判断・助言できるのが、マンション管理士です。
🧩 マンション管理士ができること
項目 | 内容 |
---|---|
予算のチェック | 適正な管理費・修繕積立金のバランスを評価 |
管理委託契約の見直し | 不要な支出を発見し、管理費の改善提案 |
総会資料の整備 | 補填の正当性や必要性を住民にわかりやすく説明 |
財務管理の助言 | 予算設計や修繕資金計画の専門的サポート |
特に札幌市のマンションでは、冬季の維持管理コストが高くなるため、管理費の逼迫は全国平均よりも深刻になりがち。
だからこそ、管理士による客観的な判断が求められる場面が多く存在します。
✅ まとめ:その“つなぎ”が、マンションの未来を壊すかも
- 管理費と修繕積立金は「目的も性質も違う別の財布」
- 修繕積立金の補填は、総会決議が必要であり、無断使用はトラブルの元
- 安易な流用は、将来の修繕ができなくなり、資産価値の低下に直結
- 管理費不足の原因を分析し、支出削減・増額・制度改善で対応すべき
- 中立的なマンション管理士を活用することで、冷静かつ合法的な対策が可能に!
📣 札幌市の管理組合・理事会の皆さまへ
「修繕積立金を一時的に使うしかない…?」
「でも、それで本当に大丈夫…?」
その判断、マンション管理士と一緒に再確認してみませんか?
プロの視点で“今”と“将来”のバランスを見直し、
健全な財政運営と住民の信頼確保を実現するお手伝いをいたします。
お金の運用は、
“今だけ見て”判断してはいけません。“未来まで見据えた”選択をするために――
そのパートナーに、マンション管理士を。