「うちは鉄筋コンクリート造(RC造)だから、雨漏りの心配はないでしょ?」
「コンクリートって水を通さないんじゃないの?」
そんな風に思っていませんか?
実はそれ、大きな誤解です。
コンクリートは水を防げません。
札幌市のように降雨・積雪が多く、外気温の変化も激しい地域では、コンクリートの“性質”を正しく理解し、適切な防水・修繕を行うことが、建物の寿命を左右するカギとなります。
今回は、鉄筋コンクリート造マンションで起こりうる雨漏りや劣化のメカニズム、対策方法、そしてマンション管理士の役割について、やさしく・わかりやすく解説していきます。
🔷 コンクリートって水を通すの?
✅ 結論:コンクリートは「じわじわと水を通す」
多くの方が「コンクリート=完全防水」と思いがちですが、実はコンクリートには微細な空隙(すきま)=“毛細管”があります。
この毛細管を通して、水はゆっくりと内部に浸透していきます。
❗ 放っておくと、どうなる?
- 室内への雨漏り
- コンクリート内部の鉄筋に水分が到達
- 鉄筋が錆びて膨張し、コンクリートを破壊(爆裂)
つまり、コンクリートは“がんばってるけど限界がある”素材なのです。
🔶 「鉄筋コンクリートの宿命」― 鉄筋のサビとコンクリートの爆裂
✅ 錆びた鉄筋は2〜4倍に膨張する!
コンクリート内部に埋まっている鉄筋。これが錆びると、鉄が膨張して周囲のコンクリートを押し出す形になります。
結果:
・ひび割れ(クラック)
・コンクリートのはがれ(剥落)
・外壁タイルの浮き・落下リスク
これは、構造安全性の面でも大きな問題です。
✅ なぜ鉄筋が錆びるのか?
原因は大きく2つあります。
① 水の浸入
前述の通り、防水処理が不十分だったり、劣化していた場合、雨水などがじわじわとコンクリート内部に浸透し、鉄筋に到達。
これが直接的な錆の原因になります。
② 中性化
そしてもう一つが、コンクリートの“化学変化”による劣化です。
🔷 「中性化」という名の静かな進行
✅ 本来、コンクリートはアルカリ性
コンクリートは通常、pH12〜13の強アルカリ性。
このアルカリ性が、鉄筋の表面を“パッシブ皮膜”という錆びにくい膜で守ってくれています。
❗ しかし、時間とともに“中性化”が進む
空気中の二酸化炭素(CO₂)と反応し、コンクリートは中性(pH7程度)に近づいていくのです。
この現象が進むと、鉄筋を守る皮膜が失われ、サビやすい状態に…!
✅ 中性化の進行速度は条件次第
- 雨が多い・湿気が高い → 進行が早い
- 冬場の凍結・融解が繰り返される札幌市では、中性化と同時にひび割れの発生も進行
中性化の深さが鉄筋の位置に達すると、鉄筋は一気に劣化を始めます。
🔶 札幌市特有のリスクとは?
札幌市では、以下のような気候が鉄筋コンクリートの劣化を助長します。
☃ 冬季の積雪・凍結融解
- 雪や氷が長期間接触することで、防水層が劣化しやすい
- 外壁のひび割れに水が入り、凍って膨張 → クラック拡大
☔ 春先・梅雨の大量の雨水
- 雨が降るたびにコンクリート内部に水分が侵入
- 外壁、屋上防水が劣化していれば、鉄筋の腐食が進むリスク大
💡 マンションの築年数に比例して“見えない危険”が増えていくのが札幌市の特徴です。
🔷 雨漏り・爆裂を防ぐには?
✅ ① 防水工事の定期的な実施
- 屋上・バルコニー・外壁などの防水層を、10〜15年ごとに改修
- 特に、既にひび割れがある箇所は早急な対応を!
✅ ② 中性化試験・コンクリート診断
- シュミットハンマーや中性化試験などで劣化の程度を可視化
- 点検結果に基づいて、修繕計画を立てる
✅ ③ 長期修繕計画で資金確保
- コンクリートの特性を理解したうえで、適切な時期に大規模修繕を実施
- 十分な修繕積立金を確保しないと、劣化は止まらず、雨漏りが日常化
🔶 専門家である「マンション管理士」の役割
「コンクリートの劣化って、誰に相談すればいいの?」
「管理会社には言われたけど、内容がよく分からない…」
そんなとき、中立かつ専門知識を持つマンション管理士の活用が有効です。
✅ マンション管理士のサポート内容
項目 | 内容 |
---|---|
点検結果の分析 | 中性化・鉄筋腐食のリスクを見える化 |
修繕時期の判断 | 「今、どこを直すべきか?」を根拠を持って助言 |
管理会社・施工会社との調整 | 費用や工法について、中立的な視点で交渉支援 |
長期修繕計画の見直し | 劣化状況を反映した“使える計画”を立案 |
✅ まとめ:コンクリートは無敵じゃない!
- 鉄筋コンクリートは強いけれど、水と時間には弱い
- 雨漏り・鉄筋の爆裂は、防水劣化や中性化が原因
- 特に札幌市のような寒冷地では、凍結・融解の影響も大きい
- 防水・点検・資金確保の3点セットが、雨漏りリスクを防ぐカギ
- 中立で信頼できる専門家=マンション管理士を活用しよう!
📣 札幌市のマンション管理組合・理事会の皆さまへ
「最近、外壁がひび割れてきた気がする…」
「コンクリートに水が入るって、本当だったんだ…」
そんなときこそ、マンション管理士にご相談ください。
建物の構造・劣化・修繕のタイミングに詳しいプロとして、適切な対策をサポートいたします。
見えないところで、静かに進むコンクリートの劣化。
でも気づいたときには、取り返しがつかないことも。だからこそ今、コンクリートの本当の性質を知り、
そして“備える”という選択を。マンション管理士が、あなたのマンションの“守り手”になります。