「長期修繕計画って、なんとなく眺めて終わってる…」
「見積りの金額も適当そうだし、工事の時期もよく分からない」

そんな声、札幌市内のマンションでもたびたび耳にします。
理事会や管理組合に配布される“あの厚い資料”――長期修繕計画(以下、「長計」)ですが、実はちゃんと目的を押さえれば、とても役立つ“未来の設計図”なんです。

ただし、計画の金額や時期は絶対ではなく“目安”にすぎないこと、そして国土交通省のひな型に沿ったものを使用したほうがベターであることも見逃せません。

本コラムでは、「そもそも長期修繕計画って何のためにあるの?」という基本から、
その正しい見かたと賢い使い方、そして札幌市特有の注意点まで、
マンション管理士の視点で分かりやすく解説します。


🔷 長期修繕計画とは「未来のための資金計画表」


✅ 目的は“修繕積立金の算出”

長計の最大の目的は、将来の大規模修繕工事に備えるための資金計画を立てることです。
つまり、「このくらいの修繕が必要になるから、これくらい積み立てておこう」という積立金額の根拠づくりにあります。


📘 よくある誤解

誤解正しい理解
工事の時期と金額が絶対だと思っている実際の工事は総会で承認することで変更が可能である
長計を見て「このとおりやらなきゃ」と思っている目安であり、必要に応じて変更してOK
毎年見直すものではないと思っている数年に一度は定期的に見直すのが理想

🔶 工事時期も金額も「目安」だからこそ柔軟に!


札幌市のマンションでは、気候条件や建物の仕様によって劣化スピードが異なります。
特に外壁の凍害、屋上防水の凍結、落雪によるダメージなど、
「一律の周期では語れない」修繕タイミングが発生しがちです。

そのため、長計に記載された「◯年ごとに実施」「〇千万円」という数字を鵜呑みにせず、あくまで目安として捉えることが肝心です。


✅ 工事のタイミングは“現地の状況”で判断

  • 屋上防水は20年が目安とされるが、札幌市では10年で再施工する例も
  • 外壁タイルは30年に1回とされるが、凍害リスクによっては15年で補修が必要なことも

→ 実際には、建物診断や専門家の意見を参考に“実行時期”を調整していくのが現実的です。


✅ 金額も「概算」。総会で変更・調整が可能

たとえば、計画書には「大規模修繕工事に1億円」と書かれていても――
物価上昇や施工方法の変更、業者選定などによって実際の工事費は大きく変動します。

重要なのは、理事会や総会を通じて柔軟に修正・承認をしていく体制が整っているかどうかです。


🔷 「国交省のひな型」に準拠した長計が信頼される理由


市販の長期修繕計画や、管理会社が独自に作成したものの中には、
一見もっともらしく見えても、重要な要素が抜けていたり、国のガイドラインに即していなかったりする例も多く存在します。


✅ 国土交通省のモデルに含まれる主なポイント

  • 建物の構造別(RC造・SRC造など)に応じた修繕周期の基準
  • 計画期間は30年以上を推奨
  • インフレや物価変動率も見越した積立金見込み
  • バリアフリーや省エネなど「新しい課題」への配慮も含む

これらを満たしていない長計は、将来的に資金不足や修繕タイミングの誤りにつながる危険性があります。


📌 注意:管理会社任せの長計には偏りも…

  • 自社で修繕工事を受注したい意図で“早めの修繕”を勧めることがある
  • 根拠のない割高な工事費を前提に積立金を高めに設定している場合も
  • 修繕周期が“見込みどおりに実施されることを前提”として計算されていることが多い

→ 中立的な立場から長計をチェック・見直す専門家の関与が必要です。


🔶 マンション管理士ができるサポートとは?


「長計を見ても、どう判断すればいいかわからない…」
「どこを修正したら良いか迷っている」
「管理会社の作成に不安がある」

そんなときに頼りになるのが、マンション管理士です。


🧩 管理士の主な支援内容

支援内容説明
長計の妥当性診断修繕周期や費用が実態に合っているかをチェック
積立金の適正額試算無理なく“足りる”金額をシミュレーション
総会での説明サポート難解な数値を分かりやすく説明、合意形成を促進
必要に応じて見直し作業を実施国交省のひな型に基づいた再作成・修正も可能

特に札幌市では、寒冷地の劣化リスクや施工コストを踏まえた長計の見直しが必要なマンションが増加中です。
地域事情に即したアドバイスができる管理士の活用が効果的です。


✅ まとめ:長計は「固定された未来」ではなく「変えられる設計図」


  • 長期修繕計画は、修繕積立金の額を決めるための“資金シミュレーション”が本来の目的
  • 修繕周期や金額はあくまで目安であり、柔軟に修正できる
  • 国交省のひな型に準拠しているかが、信頼性と現実性を判断するポイント
  • 「管理会社任せ」はリスク。中立的な専門家=マンション管理士の活用が鍵

📣 札幌市の管理組合・理事会の皆さまへ

「うちの長期修繕計画、本当にこのままでいいのかな…」
「積立金は足りてる? 工事のタイミングは適切?」

そんな不安を感じたら、ぜひマンション管理士にご相談ください。

第三者の視点から、法的・技術的・経済的なバランスを踏まえたアドバイスで、
あなたのマンションの未来設計図を、より現実的で安心できるものにブラッシュアップいたします。


長期修繕計画は、「予定表」ではありません。
それは、“未来に備える知恵の集大成”です。
そしてその知恵を磨くには、専門家の力が必要です。
札幌市でマンション管理に悩んだら、まずマンション管理士へ。