「管理会社は住民のために動くのが当たり前!」
「うちの郵便受けが濡れていたのは誰の責任なんだ!」
「夜中でも電話に出ろ!管理してるんだろうが!」
――あなたのその一言、実は“カスタマーハラスメント”かもしれません。
近年、サービス業界を中心に話題となっている「カスハラ(カスタマーハラスメント)」。
実は、マンションの管理現場にも静かに、しかし確実に広がりつつある課題です。
札幌市でも、管理会社のフロント担当者が住民からの理不尽な要求や過度なクレームに悩まされ、
管理業務の質に影響が出るケースも報告されています。
この記事では、「どこからがカスハラになるのか?」「どうすれば適切な関係を保てるのか?」
そして、“信頼される管理組合”でいるために何を意識すべきかを、マンション管理士の立場から解説します。
🔷 カスハラとは?管理の現場にもある“見えにくい暴力”
✅ カスタマーハラスメント=顧客の立場を利用した不当な言動
カスハラとは、本来のクレームや問い合わせの域を超えて、精神的・肉体的苦痛を与える行為を指します。
管理業界におけるカスハラには、以下のような例が見られます。
❌ 管理会社が実際に受けた“カスハラ”事例(札幌市内)
ケース | 内容 |
---|---|
深夜の電話で怒鳴り散らす | 「夜中に駐車場の雪が多い。なぜ除雪しない!」と繰り返し電話連絡 |
契約外の業務を強要 | 「共用部分の棚を片付けておけ」「私物を運べ」と無理な要求 |
担当者個人への誹謗中傷 | 「お前みたいな奴に任せられるか」「無能だ」と暴言を吐く |
要求がエスカレート | 一度対応すると次から次へと要求が増える“依存型ハラスメント” |
こうした状況が続くと、管理会社側の離反やフロント担当者の交代、管理品質の低下にもつながりかねません。
🔶 なぜ住民は“加害者”になってしまうのか?
意外にも、カスハラをしてしまう方の多くは、「自分が悪いことをしている」という自覚がありません。
📌 原因①:「管理=奉仕」という誤解
「管理会社は住民の言うことを聞くのが仕事」
「管理費を払ってるんだから、何でもやれ」
――この考え方が、無意識のうちに“命令”や“強要”へと変化することがあります。
📌 原因②:契約内容を理解していない
管理委託契約の内容を把握しておらず、
「なぜそれができないのか」が分からないため、説明されても納得できない状態に陥ります。
📌 原因③:フロント担当者の立場を軽視している
管理会社の担当者も一人の人間。感情も尊厳もあります。
それを無視した要求は、信頼関係を壊すだけでなく、法的なトラブルに発展する可能性もあります。
🔷 カスハラを防ぐために管理組合ができること
✅ 1. 管理委託契約書を“読む”ではなく“理解”する
まずは、管理会社がどこまでの業務を請け負っているかを明確に把握すること。
委託されている業務 | 委託外の業務 |
---|---|
点検、清掃、会計業務 | 個人の荷物移動、室内修理、私有地の除雪など |
総会・理事会補助 | 各戸のトラブルの仲裁、個人的な連絡代行 |
このように、契約外の業務を“当然のように”要求することはカスハラの一因になります。
✅ 2. “お願い”と“命令”の違いを意識する
たとえば――
- ✕「早くやれよ」 → ◎「お忙しいところ恐縮ですが、早めにご対応いただけると助かります」
- ✕「来い」 → ◎「可能であれば一度、現地を見ていただけませんか?」
言葉ひとつで、関係性が大きく変わります。
✅ 3. 苦情は“個人”でなく“組合として”伝える
管理会社への要望や指摘は、理事会を通じて伝えるのが基本です。
一住民として感情的に伝えるより、管理組合として公式に依頼する方が冷静で建設的です。
✅ 4. 理事会で「クレーム対応のガイドライン」を策定する
「住民からの苦情は、すべて管理会社に丸投げ」という運営では、
管理会社が萎縮してしまい、業務の質が低下することも。
対応する範囲、緊急性の判断基準、理事会の関与などをルール化することで、
理不尽な要求を未然に防ぐことができます。
🔶 管理士の立場からできるサポート
マンション管理士は、管理会社と管理組合、住民それぞれの立場を理解した“第三者”として、
カスハラを防ぎつつ、適正な関係性を築くお手伝いができます。
🧩 管理士のサポート内容
分野 | 内容 |
---|---|
委託契約の解説 | 業務範囲の説明、住民向けの勉強会の開催 |
トラブルの初期対応 | 感情的な対立が起きた場合の中立的調整役 |
ガイドライン策定 | クレームの対応フロー、理事会・管理会社の役割整理 |
フロント担当者のケア | 離職・交代を防ぐための対話と共通理解の促進 |
札幌市では、冬季の除雪や結露、凍害などで管理会社とのやりとりが増えるため、
カスハラを未然に防ぐ運営体制の構築がますます重要になっています。
✅ まとめ:クレームとカスハラの違いは、“リスペクト”の有無
- 管理会社は住民の“使用人”ではなく、プロとして協働するパートナー
- 管理委託契約書の範囲を正しく理解することがトラブル回避の第一歩
- 苦情は、個人の感情でなく、組合として冷静に伝えるのが理想的
- 行き過ぎた要求や暴言は、結果的にマンション全体の管理レベルを下げるリスク
- マンション管理士の活用で、住民と管理会社の良好な関係性が築ける!
📣 札幌市の管理組合・理事会の皆さまへ
「最近、住民の一部が管理会社に強く出すぎているかもしれない…」
「管理会社との関係性がぎくしゃくしている気がする…」
そんなときは、マンション管理士にご相談ください。
住民と管理会社の“ちょうどよい距離感”をつくり、
お互いが気持ちよく働ける環境づくりをサポートします。
クレームは、改善への声。
カスハラは、尊重を欠いた暴力。
管理の質は、信頼関係からしか生まれません。
その橋渡しに、マンション管理士がいます。