「うちは大丈夫。毎年総会も開いてるし、理事会もやってるから」
「細かい法律なんて、わざわざ確認しなくても…」
――その思い込みが、実は“区分所有法違反”かもしれません。
札幌市の分譲マンションでも、「良かれと思ってやっていたこと」や「以前からの慣例」が、実は法律違反だったというケースが少なくありません。
法律違反の状態が長く続くと、住民からの信頼を失ったり、トラブルが深刻化して裁判になるリスクも。
今回は、マンション管理士の立場から、意外と知られていない区分所有法違反の具体例を紹介しながら、違反を防ぐための正しい知識と対処法をお伝えします。
🔷 区分所有法ってどんな法律?
✅ マンション管理の“憲法”とも言える法律
区分所有法(正式名称:建物の区分所有等に関する法律)は、
マンションのような区分所有建物における所有・使用・管理・運営のルールを定めた法律です。
この法律は、
- 所有者同士のトラブル防止
- 管理組合の健全な運営
- 建物の価値維持
などを目的としており、すべての分譲マンションに適用されます。
🔶 実は違法!? 見落とされがちな具体例
ここからは、札幌市でもよく見られる「知らずにやっている区分所有法違反」の実例をご紹介します。
❌ 事例①:管理規約や総会議事録の保管場所を掲示していない
「総会議事録は管理室のファイルにあります」
「理事しか読まないから、場所は聞かれたら答えるだけで十分でしょ?」
→ これ、違法です!
✅ 区分所有法 第33条(書類の閲覧に関する規定)
管理規約や議事録などの重要書類は、その保管場所を“掲示”しなければならないと明記されています。
違反しているとどうなる? |
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住民からの閲覧要求に対応できない |
管理の透明性が損なわれ、住民から不信感を持たれる |
情報開示義務違反とされ、裁判で不利になることも |
札幌市内でも、築30年超のマンションでは「紙のファイルに保管して鍵がかかっている」だけのケースも。
掲示板などで保管場所と閲覧方法を明記することが求められます。
❌ 事例②:監事を理事会で選任している
「今回の理事会で○○さんを監事に選びます!」
「毎年のルーティンで、役職を理事会内で決めてますよ」
→ これも違法です!
✅ 区分所有法 第26条(役員の選任)
監事の選任は、必ず「総会」で行う必要があると定められています。
理事会での互選(多数決など)による選任は無効です。
なぜ監事だけ“総会”なの? |
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理事会を監視・監査する立場にあるため、理事と同じ会議で選んでは意味がないからです。 |
住民の代表としての監視機能を果たすため、住民全体で選ぶ必要があるのです。 |
❌ 事例③:管理組合がない、もしくは機能していない
- 総会を何年も開いていない
- 管理費や修繕積立金が滞納されたまま放置
- 理事会の役員が不在
こうした状態は、“管理不全マンション”とされ、行政が介入する可能性すらあります。
札幌市でも、高齢化や空室増加に伴って管理組合の運営が形骸化しているマンションが急増中です。
🔷 違法状態が続くと、どんなリスクがある?
⚠ トラブル・裁判リスクが高まる
- 書類の非掲示 → 開示請求訴訟
- 監事の選任違反 → 議決無効確認訴訟
- 管理不全状態 → 行政の介入や住民訴訟
形式的な違反でも、法的な瑕疵があると裁判で不利になる可能性が高まります。
⚠ 信用・資産価値が下がる
- 法令違反を放置している管理組合 → ルーズな運営の印象
- 買い手から「将来トラブルに巻き込まれそう」と思われる
- 最終的に売却困難・資産価値の低下に直結します
🔶 対策のカギは“法に基づく運営”と“第三者のチェック”
「でも、細かい法律まで調べるのは難しい…」
「うちのマンション、過去の運営がどうだったかよくわからない…」
そんな時こそ、マンション管理士の出番です。
🧩 マンション管理士ができること
支援内容 | 効果 |
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規約や運営の法令チェック | 区分所有法や標準管理規約との整合性を診断 |
書類保管・掲示体制の整備支援 | 違法状態を是正し、住民が安心できる体制づくり |
総会・理事会運営サポート | 違法な手続きがないよう議案作成・進行を助言 |
違反事例への事後対応 | 法的リスクの回避策をアドバイスし、トラブルを予防 |
札幌市では、積雪・凍結・高齢化などの地域課題も多いため、地域事情に詳しい専門家の関与がより重要になります。
✅ まとめ:知らなかったでは済まされない“法律違反”
- 区分所有法は、すべての分譲マンションに適用される強行法規
- 「慣例」「前からそうしていた」では済まされない違反がある
- 特に注意すべきは:
- 管理規約・議事録の掲示義務
- 監事の総会選任義務
- 管理不全状態のリスク
- 法律違反があると、裁判リスク・資産価値低下・住民トラブルが深刻化
- 解決には、マンション管理士のような法的知識を持つ専門家の活用が不可欠
📣 札幌市の管理組合・理事会の皆さまへ
「うちのマンション、大丈夫かな…?」
「知らずに違法状態だったらどうしよう…」
そんな不安を感じたら、まずはマンション管理士にご相談ください。
法令遵守の視点から、管理の“見直し”と“再構築”をサポートいたします。
「知らなかった」は、免罪符にはなりません。
マンションの管理は、“ルール”のうえに成り立っています。
そしてそのルールを正しく守るために、私たちマンション管理士がいます。